MSXマガジン創刊号の記事によると、6日間の総入場者数は33万人だったとのこと。まさに日本の家電真っ盛りな時代ですね。
で、実際にMSXの実機を展示していたメーカーは以下の7社だったようです。
松下電器、ビクター、東芝、三洋電機、日立、東芝、ソニー
この記事の中には各メーカーの発売予定日も記述されており、もっとも早いのが三菱電機の10月21日。
これが「最初に本体を発売したのは三菱」という話のソースとなっているわけです。
六日から十一日まで大阪市国際見本市港会場で「エレクトロニクスショー」が開催された。
MSXはショーの主役のひとつであり、新製品を出展した松下、ソニー、日立製作所、東京芝浦電気など各社はそのPRに懸命だった。
各社の展示場責任者の声を総合すると「ソフトを内蔵したカートリッジを本体に差し込むだけでだれでも手軽に使える便利さをユーザーは支持してくれている」「値段も五万円台と高級ラジカセなみで従来のパソコンの半分程度のコストで入手できるのは魅力」「子供だけでなくパソコン落ちこぼれ派とみられる中年サラリーマンにもうけている」などまずまずの評価だった。
もっとも「MSXといってもしょせん、玩具。短命商品だ」という声も聞かれた。
十月下旬から十一月下旬にかけて発売されるMSXパソコンは七社九機種である。参入メーカー七社は松下、ソニー、三洋電機、日立、東芝、三菱電機、日本楽器製造と家電系ばかり。三洋がライトペンでTV画面に絵が描けるようにしたり、日本楽器がシンセサイザーユニットなど楽器機能を重視するなど七社それぞれ特徴を出そうと一工夫している。
マイクロソフト社と契約したメーカーがマ社の基本設計に基づき開発するわけで、各社は機器の拡張性でライバルとの差別化を図らざるをえなかった。
こうした家電系各社の先行ぶりを横目でみながら音無しの構えの日電は「今年度中に新製品を発表する計画はない」と語る。日電のパソコン戦略の“キーマン”渡辺和也支配人はその理由を次のように解説する。
「MSXの市場性がまだ読み切れない。さらにこの製品が採算に乗るか現時点では疑問だ」。
もっとも日電は「ユーザーの間でパソコンのソフト互換性を要求する声が根強いのは事実だ。MSXが規格統一の実現に一歩近づくものと評価する気持ちは変わらない」(大内淳義副社長)と強調する。
MSXを採用するかどうかで「社論が真っ二つに割れた」(関係筋)といわれるパソコン第二位のシャープは当面MSXグループ入りを見送るとの結論に達した模様だ。
この路線を象徴するようにシャープのテレビ事業部はパソコンテレビの第二弾「マイコンピュータテレビC1」を発売、エレクトロニクスショーで公開した。ソフトで任天堂と提携、MSXと同様のROMカートリッジを採用したことが特徴である。
MSX拒否の理由は同社首脳部とマイクロソフト社の確執があったからと伝えられるが、日電と同様にMSXの採算性を疑問視するマーケットリサーチ部隊の声が決定要因になったようだ。
【出典】日経産業新聞 1983年10月12日付
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