話は2月15日までさかのぼる。この日、松下・日電・日立・ソニー・ヤマハ・パイオニア・富士通・三菱の8社が一同に会した。席上パソコンの互換性について話しあわれ、これがさらに発展して6月16日に続く。この会合を実現させたのが“家電の雄”松下電器と“パソコンの旗頭”日本電気なのだ。両社のうちでも松下電器が非常に活発に動いている。
新聞などでMSXは規格統一の動きとして報道されたが、決してそのようなものではないというのは松下電器の技術本部PC開発部長・前田一泰氏だ。
「初めは志のある数社でグループを形成し、その中でお互いの機種に互換性を持たせようと考えていた。今でもその考えは変わらない。ただグループの規模が大きくなっただけだ」(前田氏)
MSXに関する一連の動きを見るとこの前田氏の存在をおろそかにできない。MSXの発表のすぐあとで、日本ソフトバンクが規格統一の対抗策を出し、結局は日本ソフトバンクがそれを引込めて幕という事件があった。
前田氏と(株)アスキーの西和彦副社長とは家が近所で、アスキー創立の頃からよく知っているということだし、日本ソフトバンクの孫会長は彼がアメリカに留学している時から知っているという。
「西氏はベーシックで、孫氏にはアプリケーションソフトでそれぞれがんばって欲しいと常々考えていた」(前田氏)
対立する両者にコンタクトがとれるという点からも前田氏の仲介があって、手打ち式の舞台づくりがなされたのではないだろうか。
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